米国ETF「HDV」についての投資判断をまとめていきます。私の独断と偏見です。
HDVは、高い収益性と配当の持続性を基準に選別された75の高利回り米国株式の配当加重型インデックス(モーニングスター配当フォーカス指数)を採用しています。このモーニングスター配当フォーカス指数は、財務健全性、収益性の高さ、さらに持続的に平均以上の配当を支払うことのできる米国企業にフォーカスした指数となります。
HDVの投資対象企業になるには、モーニングスター独自の2つのスクリーンを通過する必要があります。
1つ目は、同業他社とは一線を画す経済的な「堀」の存在があるかどうかです。これは、HDVが不況を乗り切ることを目的としています。(MOAT ETFは、高配当利回りに焦点を当ててはいませんが、このアプローチを採用しています)。
2つ目は、資産と負債の将来的な比較です。HDVは、REITを除き、配当利回り別に75銘柄を対象としています。選定銘柄への投資配分は、利回りではなく、支払われた配当金の合計額で加重平均されます。この2つ目のステップが、大企業へのバイアスを与えていると思われます。
これらのステップによって、HDV独自の銘柄選択のバイアスが生み出されています。HDVは、このような堅牢な持続可能性スクリーニングを備えた高利回りのETFです。
なおHDVは、四半期ごとにリバランスと再構成が行われています。
HDV(ETF)概要
純資産総額 | 11,990.3百万USドル |
設定日 | 2011/03/29 |
経費率 | 0.08% |
分配金利回り | 3.58% |
分配金回数/年 | 4 |
管理(運用)会社 | ブラックロック・ファンド・アドバイザーズ |
・設定日は2011年。リーマンショック以降に設定されたETFです。設定後すでに10年以上経過。VYMやSPYD同様、配当株ETFといえば最初に思い浮かぶ米国ETFの一つとして認知されているように思います。
・純資産総額が直近で11,990.3百万ドル。これは流動性の観点から見れば安心できる規模の総資産額(Net Assets)だと思います。(資産総額が1B(ビリオン)を超えていると個人的にはOK。)
・経費率0.08%というのは非常に低い水準。低コストなのは長期的に見れば投資家に有利に働きます。コスト面だけでも安心して長期保有できるETFだということができます。
・分配金利回りは3%台後半の水準。分配金利回りは配当株ETFの水準としては比較的高い水準。ただSPYD同様、分配金利回りの年増加率は他の配当株ETFと比べてそれほど高くない点には注意が必要。HDVの分配金利回りの年増加率には大きく期待せず現時点の高配当に着目するのが良いのかもしれません。
HDV 組入上位銘柄トップ10
銘柄名 | 保有比率 |
Exxon Mobil Corporation | 10.46% |
Chevron Corporation | 7.79% |
AbbVie, Inc. | 6.20% |
Verizon Communications Inc. | 5.81% |
Merck & Co., Inc. | 4.74% |
Pioneer Natural Resources Company | 4.33% |
Philip Morris International Inc. | 4.33% |
Coca-Cola Company | 3.87% |
International Business Machines Corporation | 3.74% |
Cisco Systems, Inc. | 3.68% |
・HDVの組入上位銘柄を見渡すと、日本人にも馴染みのある企業が多い印象です。エクソンモービル、シェブロン、アッヴィ、ベライゾン・コミュニケーションズ、メルク、フィリップ・モリス、コカコーラ、IBM、シスコシステムズなどは米国株投資家なら一度は聞いたことのある銘柄ですね。
・HDVの選定銘柄への投資配分は支払われた配当金の合計額で加重平均されるため、保有比率1位のエクソンモービルをはじめ大企業への投資比重が高いのが一目飄然です。
HDVの運用成績(トータルリターン)
HDVの直近2年間のトータルリターンをS&P500インデックスETF(VOO)と比べてみました。
この2年間の運用成績を比べると、HDVがVOOを上回っています。ボラティリティはHDVのほうがVOOよりも低くなっています。
直近2年間だけ見ればHDVがVOOのトータルリターンを上回っていることがわかります。
HDVはエネルギー企業の保有比率が高いため、高インフレとウクライナ戦争によるエネルギー企業の株価上昇が直近2年間の好成績の理由だと思われます。これが今後も続くかどうかはなんとも言えないです。
さらに、直近3年間でHDVとVOOを比較してみます。
3年間まで広げるとコロナショック時も比較対象期間に含まれます。この期間で比べると今度はVOOのほうがリターンが上回ります。
コロナショック時にHDVは大きく下落し、その後の反発局面でもHDVはVOOとのトータルリターン差を埋めることが出来ずVOOに引き離されています。
その後のVOOの下落局面でやっとHDVとVOOの差が埋まってきたという印象です。
現時点の投資判断
本記事の投稿時点でHDVは「買い」と判断しています。トータルリターンは直近は良好で経費率も良いです。
実際に2022年10月現在、HDVは私の米国株ポートフォリオの1/8を占めています。
前述の「HDVの運用成績」でも述べましたが、直近はエネルギー企業の株価上昇による恩恵を受けました。今後も、高インフレとエネルギー需要が維持されればトータルリターンも期待できそうです。
ただSPYD同様、コロナショック時の下落率の高さ(ショック耐性の弱さ)、その後の回復局面での回復力の弱さにはある程度腹をくくる必要はありそうです。
とはいえHDVは他の配当株ETFよりも毎四半期ごとに高めの分配金が期待できます。年4回チャリンチャリンと入金される分配金がこのETFを保持するモチベーションを高めてくれます。それで良いといえば良いのです。
今後もHDVは配当再投資などにより随時買い増していく予定です。